- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/06/25
- メディア: 文庫
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奥田英朗の短編集
家族の身につまされる問題がギュッと詰まってた。
さすがというか
プロは出だしからギュッとつかむ。
もう図書館に返却してしまって実本がないから
書けないけど
離婚しそうだとか
最初の数行で
読む人をつかんでしまう。
主人公は話によって妻だったり夫だったり
時には娘だったり
プロって
年代、性別を超えて
本人になっちゃう。
その学習量やセンスはさすがだ。
「夫とUFO」は
突然UFOと更新し始めたという夫に
戸惑いながらも
何とか夫を理解しようとする妻の話だが
このことを誰かに相談しようとするときに
誰もいないと気付く妻のくだりが妙にうなづけた。
美奈子は妻の名前。
美奈子は相談相手が欲しかった。一人で抱えるにはあまりに重すぎる。けれど身内には話せない。母に話したら、心配して痩せてしまいそうだ。。近所のおかあさん仲間もだめだ。群れ集まっていても友情ではない。格好の噂話を提供するだけである。学生時代の友達とはすっかり疎遠になった。同窓会は5年前に出たきりだ。
いざとなると専業主婦は孤独だと思った。苦楽を共にする戦友がいないからだ。
ともあれ、頑張るしかない。替えの利かない家族なのである。美奈子はエイッと自分に気合を入れた。
そうなのだ。
家族は替えが利かない。
その人しかいない。
ネコでさえ、そのネコしかいない。
守るためには
何が何でも何とかしなければ
という家長的決意。
むしろ妻の方が家長の役割を果たすことが多いっていうのは
日本の家庭の真実です。