はれあたまダイアリー

とにかく続けるよ

替えの利かない家族

我が家の問題 (集英社文庫)

我が家の問題 (集英社文庫)

奥田英朗の短編集

家族の身につまされる問題がギュッと詰まってた。

さすがというか

プロは出だしからギュッとつかむ。

もう図書館に返却してしまって実本がないから
書けないけど
離婚しそうだとか
最初の数行で
読む人をつかんでしまう。

主人公は話によって妻だったり夫だったり
時には娘だったり

プロって
年代、性別を超えて
本人になっちゃう。

その学習量やセンスはさすがだ。

「夫とUFO」は

突然UFOと更新し始めたという夫に
戸惑いながらも
何とか夫を理解しようとする妻の話だが

このことを誰かに相談しようとするときに
誰もいないと気付く妻のくだりが妙にうなづけた。

美奈子は妻の名前。

 美奈子は相談相手が欲しかった。一人で抱えるにはあまりに重すぎる。けれど身内には話せない。母に話したら、心配して痩せてしまいそうだ。。近所のおかあさん仲間もだめだ。群れ集まっていても友情ではない。格好の噂話を提供するだけである。学生時代の友達とはすっかり疎遠になった。同窓会は5年前に出たきりだ。
 いざとなると専業主婦は孤独だと思った。苦楽を共にする戦友がいないからだ。
 ともあれ、頑張るしかない。替えの利かない家族なのである。美奈子はエイッと自分に気合を入れた。

そうなのだ。
家族は替えが利かない。

その人しかいない。

ネコでさえ、そのネコしかいない。

守るためには
何が何でも何とかしなければ

という家長的決意。

むしろ妻の方が家長の役割を果たすことが多いっていうのは
日本の家庭の真実です。