はれあたまダイアリー

とにかく続けるよ

また井上ひさし

JAの御用雑誌「家の光」0に
今は亡き野坂昭如
山下惣一という農業家と対談形式の
エッセイを死ぬ直前まで
連載を続けていた。

野坂昭如が12月に亡くなり
山下惣一氏は
惜別の思いを書き綴る。

 訃報に接して、「ああ、ついに戦後は終わった」と私は思いました。敗戦と飢餓という自身の体験をもとに農業の大切さを語ってくれる人はもう誰もいなくなったのです。私はこの半世紀は農業軽視、別紙の風潮に煽られて、農家自らが農家を卑下し、将来に光を見出せず、離農、棄農が相次いだ異常な時代だと考えています。その間ずっと農業の強力な支援者でありつづけた著名人が野坂昭如さんと井上ひさしさんでした。先に井上さんが逝かれ、いままた野坂さんを喪って、私は個人的に頼りにしてきた二人の兄貴を失った弟の心情であります。かくなる上は弟自身がしっかりしなければならないと肝に銘じています。

家の光 3月号より