はれあたまダイアリー

とにかく続けるよ

死を悼む

西川雄策君の霊前に捧げる詩一篇


私は唄わねばならない歌をもっている
あなたの庭に淡い緑色の光の
音がして
木々の葉はあなたの金色の頬に
かすかな歌を唄っている

西の空は真紅な口紅を唄い
誰かが雲の上で唄い始めた

水底から女の顔があらわれ
木々の葉の裏に
玉の小指が吊るされている

ああ、私があなたの顔を見るとき
私の胸をだれかがそれこそ耐え切れない
力で押さえて寂しさを流す

だけど私は
あなたが唄った歌を唄う

そしてあなたを訪ねねばならない

あなたの声を聴くために
あなたよ
あなたの刺客を私に殺しめよ

次から次と飛んでくる
飛んでくる

昔の奥から飛んでくるのだ

悪の絶頂からこの頭上に
高さを極めて飛んでくる

私はいま
悪魔をこらしめて
あなたが見ている夢を生かさねば!

どっしりと腰を落ちつけて
その身をボロでくるんで
あなたの夢を
あなたが今見ている夢を
信じて
信じて
その夢を見続けよう

あなたのために
あなたを信じて
見続けねばならないのだ

永久に
永久に

雄策君の御霊の前で
前で

平成二十七年神無月みそか

城端時報社代表 山本哲也


西川雄策氏は
城端の名士であり文化人だった。
城端時報の巻頭のコラムを
ずっと書き続けてこられた。

城端時報を命がけで守り続けておられる
山本先生にとって
西川氏の突然の死は
どれだけの痛手だったか。

でも
こうやって
詩を書けるって
かっこいい。

詩って
ちょっと
ワープしてて
色が入り
世界が飛んで
非日常だ。

年を重ねるほど
非日常に憧れる度合いが強くなる。

いつか
詩とか俳句とか歌とか。