はれあたまダイアリー

とにかく続けるよ

行けない悲しみ

カズオイシグロ
「私を離さないで」は

臓器移植提供側の人として生まれ
親も知らず
好きに生きることも許されない
若者たちの

普通に生きる人たちへの
強烈な憧れと
さりとてそうはならない
自分の運命を受け入れざるを得ない中で
平穏を求め
人生を閉じていく若者たちを描いている。

あっち側に行きたい

この若者たちほど
熾烈な環境ではなかったが

私の子供のころは
町の人と田舎の人は
全く違う世界だった。

特に曳山祭りや麦屋祭りとなると
その差は明らかで
私は
その時には

町の人はいいな

と思った。

泥にまみれる暮らしと
そうでない暮らしは決定的な差があった。

ところが
今はそんな堺がなくなった。

なくしてくれたのは
「教育」だ。

戦後
農地解放を経て、
すべての人が
等しく教育を受ける機会を経て

泥にまみれた世界から
ホワイトカラーに
生まれ変わるチャンスを得たのだ。

私前後の数十年は
本当に幸せな世界だった。

ここ20年
教育はほったらかしである。

先進国における
教育費の割合は群を抜いて低く

大学は法人化され
教授たちは事務に忙殺され
研究する暇がない。

安倍政権になって
朝鮮学校への補助が打ち切られた。

今までほったらかしなのに
急に無償化と言っても
どうして信用できる。

平然と差別を是認する
今の政権や
希望何とかやらに

カズオイシグロノーベル賞受賞を
一緒に祝う権利などない。