81才の鈴木大拙の講義を
コロンビア大学で聴講した15歳の少女が
その後鈴木大拙が95才でなくなるまで秘書としてあるいは
身の回りの世話をして鈴木大拙と共にあった。
少女が鈴木大拙に惹かれたのだ。
その少女の名は岡村美穂子。
鈴木大拙を伝えていった。
「思い出の小箱から」は禅学者上田閑照氏と岡村美穂子氏の共著。
その中で2人は上田氏によってこのように語られている。
1965年7月、95歳の大雪先生のあの軽井沢での1日、その後、また今でも、大雪先生を思うと、その都度、その時の先生と一緒に現れてくる一人の若い女性がある。一生に一度大雪先生にお会いしたその時に先生と一緒の女性がであるだけにーーーそしてその時既に偶然と言う以上の何かが感じられたからであろうーーー私にとって二人は別々ではない。「二人」と言うこともふさわしくないように、おのずから一緒に現れてくる。「大雪先生の事」の中に自然にその女性が入っている。初めからそうであるので、私にとってはそれは全く自然であり、その時の猫も山荘の周りの林も空気も、自然にそのまま一種の永遠性を帯びている。そのように自然ではあるが、また、なんとなく不思議な感じも消えない。あの時も、それからしばらくの間も、私はその女性が誰であり、その女性が何であるかを問おうとも思わなかった。「大西先生」と言う事の中に全てが含まれていた。しかし、そこに何か独特な色調の趣が加わっていることを感じていた。
「思い出の小箱から 192Pより」
ああすてき。