本はあとのことを考えると
あまり買いたくないのですが
ウーマンラッシュアワーの村本の本
冒頭に次のような文章がある。
僕は福井にいた子どもの頃、目の前の海の桟橋に行き、絵を描いた。
通りすがりの近所のおばあちゃんが僕の絵を見て驚いた。
「大ちゃん、なんで海を描かんの?こんなにお日さんが射してキラキラしとるのに」
僕は海の手前にあるボロボロの船小屋の、誰も乗らなくなった気の船を描いていた。
それはとても寂しそうな船だった。
今思えば、当時、僕の生まれ育った漁村は過疎化が少しずつ始まり、漁をやる人もほぼいなくなっていた。木の船は朽ち果て、ごみが捨てられ、それはそれはとても寂しそうに見えた。僕は海ではなくその船を描いた。
村本の文章は以前からNOTEとかで見てて
うまい人だなと思っていたが面白い本だった。
この本はキラキラした海しか見ていない私たちに
村本がこの日本には朽ちかけた船がそこここにあるという。
村本はボランティアをやろうとそういうことに近づいていくのでなく
おもしろそうだとか、しょうがなくだとか、
仕方なしにかかわっていく様子も正直に書かれている。
そして自らが目指す
上質のスタンダップコメディの世界に
関わり合った人々を引きずり込んでいく力がまたすごい。
最後は泣ける。
上質の人生。